ある日、街路樹に花が咲く―――
私は街路樹って、「街路樹」としてしか認識していませんでした。葉っぱは緑として目を癒してくれ、時には木陰を作ってくれて涼んでみたり。
悩んでいた時も、落ち葉や木々の香りに包まれ、生かされていると感じたりして。
自然っていいなあ、とお散歩をするようになって、本当に救われて癒されていました。
でもある日、街路樹に花が咲いているのを見て愕然としました。
つつじやイチョウ、アメリカフウなどメジャーな植え込みや街路樹は何となく認識していても、あまり特徴の感じられない木は「街路樹」としてしか認識していませんでした。
特に、私のお気に入りの散歩道には大きな山茶花や山椿があるため、その他の樹木は「木」としてしか見ておらず・・
先日、いつも通る道路側の樹に藤の花が咲いていてびっくりしました。
「藤だったんだ・・・」ただの樹が「藤の樹」に変わった瞬間でした。
当たり前ですが、桜の花が散ってもその木は桜です。でも私は去年、秋の小雨の日にトボトボと歩いていると、桜餅の匂いが漂ってきて、そこが桜並木だということを思い出しました。その時もショックでした。桜が咲いているから「桜」だと思っていた自分にです。
別の日も、別の通りでも、いろんな木にいろんな花が咲いていました。それはささやかだったり、ちょっと地味だったり、確かに花を目的として植えられている感じではありません。
でも、そうしたいろんな植物がいろんな所に植わって、生えて、自然は成り立っているのだとしたら。
〈下向きの、弾むような可愛いお花です。エゴノキ?〉